特集
イタリアワインの魅力
世界各国で造られているワイン。その中でもイタリアワインの魅力や特徴はどんなところにあるかご存知ですか? 今回はイタリアソムリエ協会の認定ソムリエで、当店のワインアドバイザーでもあるルカ・ブロッツィ氏に、イタリアワインとはどういったものなのか、その魅力や楽しみ方を教えてもらいました。
近年になって急上昇した"クオリティ"

イタリアでは何千年も前からワインが飲まれています。 しかし品質にこだわってワインが作られ始めたのはイタリアでもごく最近の話です。 実際40年程前までは質より量という考え方が主流で、いわゆるテーブルワインのような物ばかりが作られていました。 1970年代になり、ようやく質の良いワインを作るという意識が生産者の間に芽生えてきました。 さらに80年代になるとワインの品質に起因した死亡事故が発生し、これをきっかけとしてワイン業界全体に厳格な品質管理が必要だと言う意識が広まっていきました。 世界的にも80年代の後半からワインが体に良いと言われ始めたりしてワインブームが巻き起こり、急激にワインの消費量が増えてゆきました。 これは余談ですが実際は1日に5リットルくらい飲まないと、体に良い物質は作用し始めないと言われています。でも本当にそれくらい飲んでいたら普通の人だったらアルコール中毒になってしまいますね(笑)。
フランスワインにも負けない美味しさ、しかもリーズナブル
ワインと言えば最も有名なのがフランスワインですね。しかしイタリアワインもクオリティという観点では決して負けてはいません。むしろフランスと同等レベルの物が何割も安く楽しめる、これはイタリアワインの大きな優位性だと思っています。 一方ブランドや知名度と言う観点では、まだまだフランスにはかないません。 これは両国のワイン作りに対する姿勢の違いや歴史に起因していると思います。 前述の通り、イタリアワインが品質にこだわり始めたのはわずか40年前からなのです。 しかしフランスはボルドーやブルゴーニュと言ったブランディングが確立していて価格は高くなりがちです。 もちろんイタリアでもキャンティやバローロ、ブルネッロと言ったブランド銘柄はありますが、フランスのそれには至っていません。 プレゼントとしては知名度の高いブランド銘柄が一般的には好まれます。これは良く理解出来ます。有名で高価なワインをもらえたら嬉しいですよね。ただそこにはブランドの価値が上乗せされ、結果的に同等製品よりかなり割高になっている場合も多いのです。
知名度は低くても"極上"のワインが盛り沢山

イタリアワインは一般的には選ぶのが難しいと言われています。
実はイタリアにはワイン用の葡萄が約5,000種類あります。さらに生産者の数は大小合わせると50,000とも60,000とも言われているので一般の方が美味しくてリーズナブルなワインを選び出すのは難しいかもしれません。某有名地方の名前が付いたワインでも、私が本当に美味しいと思える銘柄は1割にも満たないでしょう。しかしイタリアワインはとにかくバラエティーに富んでいるので色々な種類のワインを楽しむことができるのです。
私が日本の皆さんにご紹介するワインは、中小規模の生産者が様々な種類の葡萄から造り出している製品です。
すでに日本の市場にある有名なワインとは違った、もしくは同レベルでもリーズナブルなイタリアワインを飲みたいと思われるのであれば、私のセレクションから是非飲んでみてください。
小さいながらも真面目にワイン作りをしている生産者が造った特別なワインばかりです。
また、その地方に根付いた葡萄(土着品種)を使っている生産者を出来るだけ選ぶようにしています。
そしてその様なワインは、時としてその生産地の文化を表現しています。
例えば僕の出身地であるウンブリア州。トスカーナの優雅な雰囲気に比べると荒々しい野性的な地域です。ここの代表的な土着品種がサグランティーノという葡萄ですが、一般的にはタンニンや酸味が強くこの地域の風土を表しているとも言えます。
イタリアにはバラエティーに富んだ沢山の文化がひしめいています。そしてワインは何千種類もあるバラエティーに富んだ文化の1アイテムなのです。
だからこそ多くの場合、私はイタリア土着の品種から生産されたワインにこだわっています。そうすることにより、私が選んだワインを飲めばイタリアやその地方の風土を感じられると言う事につながっていくと考えています。もちろんそれらはクオリティも素晴らしいですよ。
こうしたワインを発掘し皆様にご紹介する事が私の役割だと思っています。
2013年3月
